原作『カウボーイビバップ』の世界観を用いたやる夫系二次創作のWikiです。

隠れている、私は動きの邪魔にならないように加工したコートを着て、目立たないようにしている
観ている、私は他者を観察して、獲物を捜している

そうして標的を決め、不自然にならないよう、いつ移動してもおかしくないように、じっと息を潜める

   「そんでよぉ〜・・・」

会話内容を聞く必要はない、必要なのは機だ

   「そろそろ帰らねぇ?」

時は来た、後は私次第だ
彼らが持ち物を確認し、移動し始めた直後に隣をを横切る

   「〜〜〜」

どうやら今回はうまくいったようだ
私は懐の財布から気付かれない程度に中身を貰い、彼らが確認してない場所に財布を戻した



   『ふぅ。』

今の隠れ家に戻って息をついた
今回は肉体的には疲れてないが精神的に疲弊していた

   『やっと脱げるわ。』

そうしてコートを脱ぎながら、戦利品を確認する

   『今日の成果はリンゴ一つと缶詰一つ後は500Ψか…。』

その成果にに溜息を吐きながらリンゴを齧る
その甘さに頬を緩ませなつつ、今日の反省を始めた

   『やっぱり財布ごと盗めば・・・でもなぁ・・・。』

思い出すのは失敗した時のことだ。



   「俺の財布を返しやがれぇ!!」

走る、走る、走る
追い付かれないように、ただひたすらに

    「なんだ?」『女の子を追い回してるわ』『なんで
     もスリらしいわよ』『やぁねぇ』『なんて悪い子
     なのかしら』『あなたはあんな事する子になっち
     ゃだめよ?』「はーい、分かったよ!お母さん!」

ーもうここにはいられないわねー
頭の冷静な部分がそうつぶやいた

   「待ちやがれぇ!!!」

そんな事を考えていたせいだろうか
後ろから追いかけてくる声が大きくなったのを感じ、私は咄嗟に角を曲がった

   「はっ!馬鹿め!そこはお前とっちゃ行き止まりだ!!」

先にあるのは"自分の身長と同じ位"の壁だ
今追いかけている男でも暫くの間足止めされるであろうその壁を

   「ああ・・・?」

私は止まる事無く飛び越えた

   「〜〜!!〜!」

後ろから怒声が響くのを感じながら
私は隠れながら隠れ家に戻り、持ち物を回収して
船に密航し他の星に逃げ切ったのであった



   『あれが初めての失敗だったわね〜。』

そう愚痴りながら今までの事を思い出す


特定の店を万引きしすぎて賞金稼ぎらしき護衛を付けられた事

   『あれは私が先に相手を見つけてなかったら多分捕まってたわね。』

スッタ相手がお金持ちで大金を手に入れた事

   『あの時お祝いに食べたのは美味しかったわ〜。』ナンダッケ?プリン・・・プリン・・・マァイイワネ!

そして次の日から賞金稼ぎが財布を捜し始めてまた密航して逃げる羽目になった事
  
   『あれ以来気付かれない程度に貰って、落した事にし始めたのよね。』

その他にも様々な事が脳裏をよぎって

   くきゅぅぅぅぅぅ!

自身のお腹の音に回想を中断するのであった

   『お腹減った・・・。』

もはやリンゴは芯しか残っていない
思わず缶詰も食べようかと思うが思いとどまる

   『これは明日から密航する船での大切な食糧何だから・・・。』

そう、彼女は明日出る火星行きの船に密航する事にしているのだ
何故ならば・・・

   『2年前に出来たという酒場・・・今なら私くらいの年齢でも歓迎されるはずよ。』

出来たばかりで教育が出来る人間が少ないわけでもなく
歴史があり、入る人間を選抜したりできるほど大きい訳ではない

   『まだ少し早い気がするけど・・・。』

可能ならばもう一年早ければ一年目からの人間も多少は人に教える事が出来る様になるだろう
それならばもう一年待った方がいいのかもしれないが・・・

    キュルルル!!
   『もう限界ね・・・。』

そう、限界だった
少女は11歳・・・ちょうど成長期の真っ最中であった

   『前はリンゴ一個で十分だったのに・・・。』

成長した事により肉体が必要とするエネルギーは大幅に増加した
故に彼女は最近はいつも空腹だった

   『我慢よ・・・我慢するのよメルヴァ。』

今のままでは空腹で死んでしまう
昔のように財布事に戻せばしばらくは持つだろうが

   『無理ね・・・その内捕まるわ。』

その結果死ぬだけならまだマシだ

   『私は絶対にあんな風にはならないわ。』

昔隠れ家の近くまで逃げてきて捕まった女性
借金を返せず逃げたらしき女性に話されたこれからの未来予想図
それは死んだ方がマシな事もあるという事をメルヴァに分からせるのに十分だった

   『それはそうとして早く寝ましょう。』

明日は早い、これを逃すとしばらく船はない
メルヴァは無理やり空腹を誤魔化して瞼を閉じるのであった



   『たっだいま〜!』

   「家に帰るなら場所間違えてるぞ」「おかえりなせぇ」
   「……おかえり」「おかえりなさい、マルス・ロマンスへ
    まあ酒場なんだけどな」「お帰りだぞ!」「おう嬢ちゃ
    ん、仕事帰りですかい?」『…おかえりなさい』

このページへのコメント

おかヴィーナス!!
だいぶ荒んだ生活をしてたみたいだけどもう大丈夫だね!

0
Posted by フリッカちゃん 2017年02月01日(水) 15:54:14 返信

良い自制心と判断力。組んだ時には頼りに出来そうね。
賞金稼ぎとして、お互い頑張りましょう。

0
Posted by フューネ・セプティノス 2017年01月29日(日) 01:26:50 返信

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