【R-18・RP】カウガールバラッド【闇鍋】

模擬刀を一閃横に振るい外したのを確認、そのまま納刀右足での蹴りを放つ
それすら避けられ肉薄される瞬間に後ろにずれ、距離を離し仕切り直す
そのまま腕の長さと刀の長さを合わせた133.21cmに全意識を集中させる
相手の髪がその間合いに入り、頭皮の薄皮が間合いに入り、頭蓋骨が間合いに入った時点で腕を振るう
刀身が揺らめく超高速の居合は同じく超高速の動きで避けられて…

「ぐはっっ！！」

その右腕から繰り出されるパイルバンカーに心臓を撃ち抜かれて吹き飛ぶ
それでも納刀するのは居合を進むものとしての意地か

『どうした終わりか？立て、戦え、強くなりたいなら貫いて見せろ』

「模擬戦にそこまで命かけるかよ、ギブアップだ姉さん」

『悪いなクォート、加減が出来なかった私を恨め、許せとは言わない』

家の庭で寝そべりながらそんな厳しい言葉を聞く
姉さんは若干戦闘狂のきらいがあるからな、結婚できるか心配だ
そんな会話をしてると物陰から見ていた奴が近づいてきた

『兄さん、大丈夫……？』

「大丈夫に見えるかよったく…」

『それよりお客さん…』

「あ？俺じゃなくて姉さんやお前が行ったほうがいいんじゃねえのか？」

『やだ…面倒…』

「俺だって面倒に決まってんだろうが、ったくよ」

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「君みたいな若い人が…いやなんでもない仕事の話をしよう
　今回の依頼は殺しだ、ある屋敷の２階奥の部屋にいる人間を殺してほしい、それだけだ」

「おいおい情報はそれだけかよ、出来ねえことじゃねえが面倒を避けるためにもっと欲しいんだがな」

「名うての殺し屋なのだろう？これで十分なはずだ、余計な詮索も認めない」

こいつはマジで言ってるのか？まあ裏の世界には疎そうだし仕方のねえことだろうがな

「……いいぜ請け負う、期日の指定はあるか？」

「明日の朝日が昇るまでだ、当然できるだろう？」

「もちろんだ、確実に殺して見せるから安心しろよ」

その言葉を聞くと男は満足したかのように去っていった
おいおい嘘だろ報酬の話とかもなしかよ、冗談にもほどがあるぜ
だがそれでも動くのが俺達が俺達たち足る証拠だ

「さて、それじゃあ運命を見に行くとするか」

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闇に隠れて地を駆ける、中庭を高速で横切った後で警備に一閃気絶させる
切ってないといえ鉄の棒だから十分危険なのだが確実に殺さない様に、しかも居合では難しいみねうちを寸分違わず行う
其れだけ彼我の実力差は隔絶しており何の問題も無く目的の部屋の扉を開けた

『お兄さんだあれ？』

「俺は怖い怖いお兄さんだ、お前の心と運命を見に来た」

『？？？』

俺自身気障ったらしいとは思ってるから何も言うな
そんな事よりこの少女に聞かなきゃいけないことがある

『それより私と遊んでちょうだい！』

………ガキのお守りとか面倒臭くて仕方がねえ
誰が好き好んでこんな依頼にないことやらなきゃいけねえんだよ

「遊ぶって何をしてだ？」

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「ということで俺はその子と仲良く遊んだのさ、中々に楽しかったぜ」

「なんでお前がここにいる！そもそも依頼と違うじゃないか！」

今俺がいるのはあの少女の父親の部屋だ、それ以上でも以下でもない
俺はあの子の心を見た、そしてそれだけで十分だ

「あーなんと言うか依頼する相手が悪かったんだよお前
　よりにもよってうちのとこに依頼するとはな…大方よく知りもせずに頼んだんだろうが間違いだ」

「これだから殺し屋は信用ならないんだ、有名だからと信じてやったのにこの……」

言い終わる前に肉薄し腕の長さと刀の長さを合わせた133.21cmに全意識を集中させる
相手の吐息がその間合いに入り、首の薄皮が間合いに入り、喉笛が間合いに入った時点で腕を振るう
刀身が揺らめく超高速の居合は一切の抵抗なく決められた道を通り鞘に納まり…

「『断頭台のアルセイフ』、『死刑執行のアルセイフ』
　アルセイフ家は俺達の意思で死刑を下す、俺達の心で断頭する
　俺の心がお前の運命だ、諦めろ」

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『お帰り兄さん』

「ただいま、報酬は得られなかった」

『………そう』

相変わらず淡白な妹だ、こいつも嫁ぎ遅れるんじゃ…
やめろ露骨に睨むんじゃねえ俺が悪かったって

『クォート、お前宛てに報酬が来ているぞ』

「あ？今回の依頼人は俺が殺したはずだぞ」

『だが来ているのだから仕方がないだろう、受け取れ』

投げられたのは一つの封筒
大きさや持った感触からして絵葉書か何かだろう

『……何が入ってるの？』

「五月蠅え教えてたまるか、これは俺の物だ」

『……ケチ』





遊んでくれてありがとうお兄さん！
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